はじめに
企業が経済活動を行ううえで、SDGsというキーワードを考えることが当たり前の時代になりました。
地球にも人にも優しく、サスティナブルであることは、ユニフォームとも切り離せません。
SDGsの最終目標は、誰一人取り残されることなく、自分らしく生きられる社会をつくることです。
そのために、未来を見つめ、今できることを積み重ねていくことが求められています。
なぜSDGsが必要なの?
ユニフォームの多くは石油由来のポリエステル素材を使用しています。
脱炭素社会の実現に向けて、「環境への負荷を軽減するために何をすべきか?」企業ユニフォームを取り扱う多くの企業が、検討を重ねています。
また、衣料品の大量廃棄も、アパレル業界がいま真剣に向き合っている課題です。
そこで、廃棄繊維が再び服へと生まれ変わる再生プロジェクトがいま注目されています。
素材や加工技術の開発が進み、環境負荷を軽減する方法は多様になりました。
たとえば、抗菌・抗ウイルス加工は、環境負荷をかけないよう天然成分が使用されることが多くなり、安心して着用することができます。
防汚加工や汚れがつきにくい繊維を使用するなど、洗濯回数を減らすことも環境負荷の軽減に貢献します。
「ジェンダーレス」をキーワードに、シルエットやアイテムも変化してきました。
性別や年齢のほか、あらゆる壁を取り払い、誰もが快適に働くことを意識した商品の選択肢も増えています。
ここでは、企業のユニフォームがどのような取り組みでSDGsに貢献できるのかを、順を追って説明していきたいと思います。
そもそもSDGsって?
そもそも、SDGsとは何なのでしょうか?
この2〜3年、メディアでも盛んに取り上げられるようになりましたし、子供たちは学校教育の中で学んでいます。
多くの人の目や耳に馴染んでいるこのSDGsですが、「だいたい分かる、なんとなく知っているけど、説明には自信がない」という人は多いのではないでしょうか。
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは、Sustainable Development Goalsの略で、日本語にすると「持続可能な開発目標」ということになります。
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。 17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。 ※外務省公式サイトより |
企業として取り組めるSDGsってなんだろう?
SDGsの目標達成に向けての取り組みは、国はもちろん、一般企業でも今、特別なことではなくなってきています。
ということは、わたしたちができることの選択肢が、格段に広がっているということでもあります。
外務省公式サイト(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html)の取組事例を見るとわかりますが、社会的役割や影響が大きな企業を筆頭に、自治体・教育機関・NGO/NPOなど規模の大小や業種を問わず、さまざまな取り組みが紹介されており、目標達成に向けての熱意を感じます。
それはユニフォーム業界においても例外ではなく、企画・製造・販売の過程において自社でできること、購入先の企業でもできることなど、各社からさまざまな取り組みが紹介・発信されています。
同時に、ユニフォームの購入やモデルチェンジを検討している企業に対し、「ユニフォームを通じてどんなことができるのか」広くアナウンスするという役割も担うことになります。
意外と知られていない、見過ごされがちなことなのですが、ユニフォームの選び方によっては、SDGsの目標達成に大きく貢献することができるのです。
これまではデザインや着心地が重視されてきましたが、加えて環境への配慮も、企業にとって重要な判断基準になってきました。SDGsを意識したユニフォームの選択が企業姿勢を表現することにもなります。
そこで、「SDGs目標達成に向けて企業ユニフォームに出来ること」の代表的な手段をいくつかご紹介致します。
①環境に配慮したユニフォームの採用
「PETボトル再生繊維」、「植物由来のポリエステル繊維」、「廃棄する食材で染色」した素材などの環境配慮型の商品が増えています。限りある資源の有効活用や、石油由来から植物由来への代替により、二酸化炭素の排出量を削減することができます。
②誰もが分けへだてなく着用できるユニフォームの採用(性別・体型・労働環境など)
今まで男女で分けていた制服を統一し、男女兼用にすることで区別をなくすことや、マタニティ制服、男性中心だった作業服の女性用シルエットやサイズ構成が豊富なユニフォームの採用は、ストレスを感じずに働ける職場環境の提供につなげることができます。ジェンダーレスやダイバーシティーの推進を考える上で、衣服は重要な役割を果たします。
③循環型リサイクルシステムの採用
使用済みのユニフォームを回収し、その中からポリエステル原料を抽出します。抽出した原料から生まれた再生ポリエステル糸を使用した生地でユニフォームを製作するという、資源をエンドレスに循環させる仕組みです。
④カーボン・オフセットの採用
ユニフォーム購入時にCO2のクレジットが付いた商品を導入することにより、ユニフォームの製造過程で排出されたCO2を森林や海洋保護に投資することによって埋め合わせ(オフセット)する仕組みです。「横浜ブルーカーボン(海洋資源を活用した温暖化対策)」など、各都道府県・自治体が創出したクレジットによるカーボン・オフセットの取り組みも増えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「SDGs目標達成に向けて企業ユニフォームに出来ること」のなかには、意外と簡単に取り組めることがある、ということが分かります。
取り組みやすさとしては、ECO商品や分けへだてなく着用できる商品の購入が考えられますが、持続可能という点では循環型リサイクルシステムの採用に軍配があがります。
また、業種・職種によっては、これらの選択が難しいこともあります。
そのような場合は、カーボン・オフセットの検討も視野に入れてみるとよいでしょう。
今後もユニフォームを通じた取り組みの選択肢は増えていくことが見込まれます。
ユニフォームを、「サスティナブルか?」「SDGsの目標達成に貢献できるか?」など、違う角度から考えてみることが、より良い未来づくりにつながるのではないでしょうか。
「誰一人取り残さない社会の実現に向けた取組を一層加速していく」という日本の目標達成に向けて今、それぞれの企業姿勢が問われているのです。